「車輪の下」を著したドイツのノーベル文学賞作家ヘルマン・ヘッセは,「書物そのものは,君に幸福をもたらすわけではない。ただ書物は,君が君自身の中へ帰るのを助けてくれる。」と読書の効用を述べています。「本は心の栄養」とよく言われますが,確かに読むことがすぐに何か自分の役に立つものではないかもしれません。しかし,読むことによって確実に自分の心は成長し,豊かになっていくでしょう。そうして自分自身が徐々に形づくられていくと言えます。
26年度1月現在,本校の図書室には,約9900冊の蔵書があり,これは学校図書館図書標準とほぼ同程度です。全国で図書標準を達成している小学校は,57%ほどしかありません。また,毎年修繕しきれない本は廃棄もしつつ,旭川市の配当予算で400冊ほど新規購入を行っています。子供達がこれほど多くの本にもっとも身近に接することができるのは,学校図書館をおいて他にはないでしょう。学校に来て図書室に行けば,1万冊もの本と出会うことができるのです。
また,26年11月4日の北海道新聞夕刊のコラム欄「今日の話題」では,旭川市独自の取組である学校図書館補助員についてのコラムが掲載されました。少し長いですが,以下に引用します。
図書館に人を
先日,当欄で「 学校司書 」について書いたところ,旭川市内の中学校で学校図書館補助員を務める方から,お便りと資料をいただいた。図書管理,調べ学習の準備,本の紹介や読み聞かせ,各種展示など,その仕事は多岐にわたる。
とりわけ,「児童・生徒たちが『人』のいる温かい図書館で本と出会える」という目標と,有志で自主研修に励む熱意に感銘を受けた。
来春,学校図書館の担当職員を初めて学校司書と明記し,小中高校への配置を努力義務とする改正学校図書館法が施行される。資格や養成のあり方が決まっていないとはいえ,旭川の補助員の人たちも事実上,学校司書という位置付けになるだろう。
前進には違いないが,非正規職員の不安定な地位,人員不足といった難題は依然として残る。批判しているわけではない。むしろ,全小中学校に補助員の配置を目指す旭川市の取り組みは,道内では先進的な事例なのだ。(中略)
本と子供をつなぐ学校司書の役割を認識し,配置や待遇改善に向け,道も各市町村に働きかけてもらいたい。
11/04 北海道新聞夕刊「今日の話題」より
本校でも,学校図書館補助員が週4日,子供の調べ学習へのアドバイスや読書相談,読み聞かせ,図書室の展示装飾などの仕事を精力的に行っています。そのような効果もあり,平成24年度図書館利用児童数の月平均は3000名を超えました。同じ年3000名を超える利用があった小学校は市内でも数校です。いつでも本と子供をつなぐ大人がいて,安心して本に親しめる図書室になっていると思います。
御来校の際には,ぜひ一度図書室をご覧になっていただきたいと思います。